抜歯しない矯正治療(非抜歯矯正)

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抜歯しない矯正治療(非抜歯矯正)


矯正治療では、歯を抜かなければうまく歯を動かせないときには、抜歯をして矯正を行います。歯を抜かなくても歯を動かすことができ、大きな問題が起きないことが予測できる場合には歯を抜かない矯正治療(非抜歯矯正)を進めていきます。

今回は「抜歯をしない矯正治療」についてご説明します。

■抜歯と非抜歯を決める2つの基準

「歯の乱れ方が大きくない」「歯を抜かなくても歯を動かせる」

矯正治療で歯を抜くか、歯を抜かずに治療を行うかは、以下の2つの基準をもとに判断します。

・歯の乱れ方が大きくないこと
・歯を抜かなくても歯を動かせること


歯があまり大きく乱れておらず、なおかつ、歯を抜かなくても歯を動かせそうな場合には抜歯をせず、非抜歯矯正を行うことがあります。

■非抜歯矯正を適用できる症例

非抜歯矯正を適用できる症例は、主に以下の4つがあります。

①ガタガタ度合いが少ない叢生(そうせい:ガタガタ歯、乱杭歯)
②上下の噛み合わせのズレが少ない出っ歯や受け口
③前歯の傾きが少ない出っ歯や受け口
④口元の突き出し度合いが少ない出っ歯や受け口


ガタガタ度合いが少ない叢生(そうせい:ガタガタ歯、乱杭歯)

歯がガタガタ、不規則にならんでいる歯並びを叢生(乱杭歯)と呼びます。ガタガタ度合いが少ない叢生は、歯を抜かずに矯正ができる場合があります。

ガタガタ度合いが大きい叢生の治療では歯を抜いて歯を動かすスペースを作り、矯正を行います。

上下の噛み合わせのズレが少ない出っ歯や受け口

前歯が突き出してしまい、上下の噛み合わせがずれる出っ歯や受け口の治療では、抜歯が必要になることが多いです。上下の噛み合わせのズレが少なく、歯を抜かなくても問題が起きそうにない場合や、奥歯を後ろに動かすことができる場合(後述:③奥歯の後方への移動)には抜歯をせずに矯正を行えるケースもあります。

前歯の傾きが少ない出っ歯や受け口

前歯の前方への傾きが少ない出っ歯や受け口は、歯を抜かずに矯正を行えることがあります。

出っ歯や受け口の矯正では、前方に斜めに傾いた前歯を内側に倒す治療を行います。このとき、前歯の傾きが大きければ大きいほど、前歯を内側に戻す際に歯を動かすためのスペースが必要になります。

前歯が前方に大きく傾いているケースで抜歯をせずに矯正を行ってしまうと、前歯が綺麗に顎の骨(歯槽骨)の中におさまらず、口元が突き出して「口ゴボ」「ゴリラ顔」になってしまうことがあります。

前歯の前方への傾きが少ない出っ歯や受け口であれば、前歯を内側に戻す際にそれほどスペースを必要としないため、非抜歯矯正が可能となります。

口元の突き出し度合いが少ない出っ歯や受け口

前歯の傾きと同様に、口元の突き出し度合いが少ない出っ歯や受け口は、歯を抜かずに矯正を行えることがあります。

出っ歯や受け口は、主に以下が原因で発生します。

1.前歯の前方への傾き
2.上顎や下顎の歯列全体が前にでていたり後ろにひっこんでいる(上下の噛み合わせがずれている)
3.顎が正常に発達せず、上顎が前に突き出して下顎が後ろにひっこんでいる(いわゆる「口ゴボ」「アデノイド顔貌」と言われる状態)


上記のうち、①(前歯の前方への傾き)や②(上下の噛み合わせのズレ)が原因で口元が突き出している場合、突き出し度合いが少なければ、歯を抜かずに矯正できる場合があります。

③(顎の未発達による口元の突き出し)は顎が小さいため歯がきちんと並ぶスペースが足りておらず、抜歯が必要なることが多いです。顎が未発達の方の治療では、ケースによっては顎の骨切りやオトガイ形成術などの外科手術(外科矯正による顎の骨格の修正)が必要になることもあります。

■非抜歯矯正で行う治療内容

歯を抜かない非抜歯矯正では以下の処置を行い、歯を動かすためのスペースを作ってから治療を進めていきます。以下の処置ができない場合は抜歯矯正となります。

[非抜歯矯正で行う治療内容]

①IPR(歯間をやすりで削る処置)
②歯列の側方拡大(歯並び全体を外側(頬側)に拡大する処置)
③奥歯の後方への移動


IPR(歯間をやすりで削る処置)

IPR(アイピーアール)とは、歯と歯の隣接面(歯のあいだ)をやすりで削ってすき間をつくり、歯を動かすスペースを作る処置です。IPRはストリッピングやディスキングと呼ぶこともあります。

IPRで削る量は歯1本につき最大でも0.3mmほどです。歯のエナメル質は平均で1.5~2.0mmほどの厚さがあるため、IPRによって痛みを感じたり歯の健康に影響がでることはありません。

歯並びの乱れ方が少なく、IPRで歯を削ってスペースを確保できる場合には、歯を抜かずに矯正を行えることがあります。

歯列の側方拡大(歯並び全体を外側(頬側)に拡大する処置)

歯列の側方拡大とは、歯並び全体を外側(頬側)に拡大する処置です。歯並び全体を外側に向かって広げることで歯と歯のあいだにすき間が生まれ、歯を動かすためのスペースを確保できます。

歯並びの乱れ方が少なく、歯列の側方拡大ができる場合には歯を抜かずに矯正を行えることがあります。歯列を側方拡大できるケースとしては、以下の2つのケースがあります。

1.歯並び全体が内側に倒れており、外側に戻すだけの余裕がある場合
2.歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が厚く、歯列を外側に広げても問題ない場合


歯並びの乱れ方が少ない場合でも、上記の条件に適合しないケースでは歯列の側方拡大を行えません。条件に適合していないケースで無理に歯列を外側に広げてしまうと歯が歯槽骨から飛び出て歯ぐきが下がってしまったり、後戻りが起きやすくなります。そのような場合には非抜歯矯正ではなく、歯を抜いて抜歯矯正を行います。

奥歯の後方への移動

非抜歯矯正では、奥歯(=第二大臼歯(親知らずの1つ手前の奥歯)を後ろに移動させて歯を動かすためのスペースを作ることがあります。

奥歯を後ろに移動させることができるケースとしては、以下があります。

1.第二大臼歯の後ろに歯を動かすためのスペース(歯槽骨)が十分にある(5mm前後のスペースがあることが理想です)

日本人は白人などの欧米人と比べると奥歯の奥にある歯槽骨が短く、最大でも3mmほどしか奥歯を後ろに動かせない場合が多いです。3mmでは歯を動かすのに十分なスペースを作れないため、奥歯の後方移動のみで非抜歯矯正を行えるケースはそれほど多くありません。奥歯の後方移動のみでスペースを作れない場合には、IPRと奥歯の後方移動を合わせて行う方法があります。ケースによっては抜歯矯正に切り替えることもあります。

{親知らずの抜歯について}

非抜歯矯正で奥歯(第二大臼歯)の後方移動を行うときは、親知らずを抜歯します。親知らずを抜歯する時点で「それって抜歯矯正じゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

親知らずは矯正治療の対象ではない歯です。矯正で親知らずを動かすことは基本的にありません。歯を抜いているのに「非抜歯」ということで腑に落ちない方もいらっしゃるかと思いますが、矯正治療では親知らずの抜歯は抜歯矯正に含めず、非抜歯扱いとなります。ご了承ください。

【口元やお顔全体のバランスを考えることが大切です】

アイリーデンタルクリニックでは、非抜歯矯正が適切かどうかを歯科医師が綿密に判断します。抜歯が必要な場合に無理に非抜歯矯正を行うことはありません。歯を動かすスペースが不足しているケースで無理に非抜歯矯正を行うと口ゴボやゴリラ顔をひきおこすことがあります。非抜歯矯正を行う際には歯並びだけではなく、口元とお顔全体のバランスを考えて治療を進めていきます。

当院では矯正の無料相談を行っています。歯並びのお悩みや矯正の治療内容・費用についてご質問がある方はお気軽にご相談ください。