「歯列矯正は何歳までできるの?」という疑問を持つ方は多いですが、基本的に歯列矯正に年齢制限はありません。
健康な歯と歯肉であれば、子どもから高齢者まで矯正治療を受けることが可能です。
ただし、年齢ごとに歯や歯周組織の状態が異なるため、それぞれに適した治療法と注意点があります。
ここでは、子どもから高齢者までの年齢別に特徴と注意点を解説します。
目次
■子どもの矯正(6歳~12歳頃)
◎特徴と目的
子どもの矯正治療は、一般的に小児矯正、またはⅠ期治療と呼ばれ、歯列だけでなくあごの成長を正しい方向に導くことを目的とします。
この時期のお子さまの骨は柔らかく、成長を利用した治療が可能です。
重度の不正咬合やあごのずれなど、将来的に大掛かりな治療が必要になる可能性を減らすことができます。
◎注意点
小児矯正はタイミングを逃さないことが重要です。
永久歯が生え揃う前の段階で治療を開始することが多いため、定期的に歯科検診を受けることで適切な時期を見極めることができます。
また、子どもは矯正装置の装着や清掃を自分で管理することが難しい場合があるため、保護者さまがサポートしてあげることが大切です。
■中学生から成人前までの矯正(13歳~19歳頃)
◎特徴と目的
中学生~成人前までの矯正は、一般的にⅡ期治療と呼ばれ、永久歯が揃った後に行う治療です。
基本的に大人の矯正と同じ方法で、歯の並びを整える治療をします。
この時期は見た目を気にすることが増えるため、透明なマウスピース矯正や目立たない色をした審美ブラケットが人気です。
◎注意点
成長に応じた治療計画を立てることが必要です。
スポーツや学校行事などが多い年齢のため、矯正装置が破損しないよう安全対策を行うことも大切です。
■成人の矯正(20歳~39歳頃)
◎特徴と目的
成人の矯正は見た目の改善が主に思われがちですが、噛み合わせや歯の機能を回復することも目的となります。
骨の成長が止まっているため、歯を動かすことで理想的な歯並びに近づけます。
仕事や日常生活に影響を与えにくいマウスピース型矯正装置や、舌側矯正が人気です。
◎注意点
若い頃ほど歯が動きやすいということを覚えておくと良いでしょう。
また、ライフイベントも多くなる時期のため、それに合わせた計画が必要です。
■40歳以上の矯正
◎注意点
歯周病の管理が重要なポイントとなります。
歯周組織の状態が悪いと歯の移動が困難になり、矯正治療がうまくいかないことがあります。
年齢が上がるにしたがって歯が動きにくくなるため、過度な力をかけずに計画を立てることが必要です。
高血圧や糖尿病など全身疾患がある場合は、他科の医師との連携が必要となる場合もあります。
■高齢者の矯正(60歳以上)
◎注意点
歯と歯周組織が健康であれば矯正はできますが、残存歯の健康を第一に考える必要があります。
無理な治療を選択しないほうがいいケースもあります。
骨密度が低下している場合もあるため、治療前に骨の状態をしっかりと診断してもらうことが大切です。
無理のない治療計画を立て、生活習慣や体力に配慮した治療を進めます。
【それぞれの年齢に適した無理のない治療を】
歯列矯正は年齢に関係なく治療が可能ですが、それぞれの年齢に応じた特徴と注意点を理解することが重要です。
子どもは成長期を活用して効果的に治療を進めることができ、成人や中高年は歯周病や歯周組織の健康を優先しながら矯正を行います。
高齢者でも、適切な計画のもとで生活の質を向上させる治療が可能です。
矯正治療を始める前には、信頼できる歯科医師と相談し、自分の年齢や健康状態に合った治療法を見つけましょう。
年齢に関わらず、歯並びを整えることは健康と生活の質を向上させる第一歩です。