「口臭が気になる」と感じた時、実は歯並びがその一因となっていることもあります。
歯並びがよくないと、歯の隙間や奥まった部分に食べかすや歯垢(プラーク)が溜まりやすく、口臭の原因となる菌が増殖したり、歯周病の原因となったりします。
矯正治療で歯並びを整えると、これらの原因が解消され、口臭が改善されることがあります。
この記事では矯正治療による口臭の改善効果について詳しく解説します。
目次
■口臭の原因とは?
◎メチルメルカプタン
口臭を起こすガスは3種類あるといわれています。
一番強いにおいを放つメチルメルカプタンは、歯周病が原因で発生します。
メチルメルカプタンはタンパク質を分解する細菌が生成する物質で、玉ねぎの腐った臭いと形容される、腐敗臭のような不快な臭いが特徴です。
◎ジメチルサルファイド
ジメチルサルファイドは、消化管の異常などで発生するガスです。
生ごみやキャベツのような臭いと表現されることもあります。
この成分は消化管で分解されずに血中に溶け込むこともあり、これによって臭いが発生する場合もあります。
◎硫化水素
硫化水素は卵が腐ったような臭いの成分です。
口内細菌が唾液や食べかすに含まれるタンパク質を分解して発生します。
特に歯垢(プラーク)が溜まりやすい歯並びは、硫化水素が発生しやすくなります。
■汚れが溜まりやすい歯並び
◎叢生
叢生とは、歯に対して顎が小さい時に起こる歯並びです。
歯と歯の間に隙間が少なくなり、重なり合ってしまうこともあります。
歯ブラシが届きにくく、唾液の自浄作用も働きにくいため、歯と歯の間に食べかすや歯垢(プラーク)が溜まりやすいのが特徴です。
また、本当にぴったりと重なり合っていると歯科医院の器具でも間を磨けないというケースもあるため、注意が必要な歯並びです。
軽度なものから重度なものまでありますが、重度なものは特に注意が必要といえるでしょう。
◎上顎前突・下顎前突
上顎前突や下顎前突は、それぞれ上顎や下顎が前に出ている状態を指します。
上顎前突、下顎前突共に口が閉じにくくなるので、口腔内が乾燥しやすくなります。
その結果、唾液の自浄作用がいきわたりにくくなり、細菌が増殖しやすくなります。
◎その他の歯並び
過蓋咬合(ディープバイト)や開咬などの歯並びも、場合によっては磨き残しが起こりやすいため、細菌が繁殖しやすく、口臭の原因になることがあります。
■矯正治療で口臭が改善される理由
◎唾液の自浄作用が働きやすい
矯正治療によって歯並びが整うと、口腔内に唾液の自浄作用がいきわたりやすくなります。唾液が十分に行き渡ることで、食べ物や細菌が洗い流され、口臭が起こりにくくなります。
◎歯並びが整うことで磨き残しが減少
きれいな歯列は歯ブラシが隅々まで届きやすいです。
これによって磨き残しが少なくなり、口腔内の清潔が保ちやすくなります。
歯垢(プラーク)や歯石の蓄積も少なくなるため、これらが発する臭いも減らせます。
また、磨き残しがなくなることで歯周病の発生も抑えやすくなることから、口臭の原因を減らすことができます。
【きれいな歯並びは口臭も発生しにくい】
歯並びが悪いと食べかすやプラークが溜まりやすくなり、メチルメルカプタンや硫化水素といったガスが発生しやすくなります。
矯正治療で歯列を整えることで歯磨きがしやすくなり、口臭が抑えられる可能性があります。
矯正治療の本来の目的は歯並びを整えることですが、口臭にお悩みの方は矯正治療を検討するのが良いケースもあります。
口臭が気になる方や歯並びに悩みがある方は、歯科医院と相談し、矯正治療による口臭改善の可能性があるかどうか確認してみると良いでしょう。