インビザライン(マウスピース矯正)は透明な矯正用のマウスピースをはめて、歯を動かす画期的な治療法です。
このマウスピース矯正に得意な症例や苦手な症例はあるのでしょうか。
目次
■矯正方法による歯の動かし方の違い
◎治せるのは歯性の歯並びの異常
矯正にはⅠ期とⅡ期治療があります。
Ⅰ期治療は小学校卒業する12歳までに行う、顎の骨の成長を利用した矯正方法です。
この時期に行う矯正をⅠ期治療といいます。
12歳を過ぎると顎の成長がゆるやかになるため、後は歯の位置を動かすことで歯並びを整える矯正方法に移ります。
これをⅡ期治療といいます。
◎ワイヤー矯正の歯の動かし方
ブラケットという器具を歯の表面につけ、その上にワイヤーを私渡し、ワイヤーに力をかけることで歯を動かします。
大きく歯を動かすことや回転の加わる動きなども得意です
◎マウスピース矯正の歯の動かし方
マウスピース矯正は、歯の上にアタッチメントという突起をつけ、その上からマウスピースをつけることで歯を動かします。
マウスピースは動かしたい方向に隙間が空いているため、歯がそちらの方向に移動する仕組みです。
マウスピースを7日〜10日に付け替えることで、希望の方向に動かします。
■マウスピース矯正はこんな症例が苦手
◎骨格性の歯列矯正
マウスピース矯正は骨格性の歯列矯正に対応していません。
これはワイヤー矯正でも同じです。
そのため骨格性の上顎前突、下顎前突の患者様は、成人後は外科処置によって骨格を矯正する必要があります。
子供の頃はⅠ期矯正によって顎の骨格自体を調整できる可能性があります。
◎歯周病のひどい方
歯周病のひどい方は、歯槽骨が減っている状態のため、矯正によって歯を動かすと歯自体が抜けてしまう可能性があります。
そのため重度の歯周病の方は、矯正治療自体を行うことができません。
◎インプラントの入っている方
矯正は歯根膜という膜に対して力をかけることで歯を希望の方向に動かします。
天然の歯には歯根膜がありますが、インプラントは歯槽骨という骨と直接結合しています。
そのためインプラントは一度埋入するとその場所から動かすことはできません。
そのためインプラントが入っている方は、矯正治療自体を行うことができません。
◎重度の歯列不正
マウスピース矯正で重度の歯列不正を治療することはあまり得意ではありません。
かなりしっかりと重なり合っている叢生などは、ワイヤー矯正の適応となります。
◎抜歯を必要とするもの
歯が並ぶスペースがたりない時は、小臼歯などを抜歯して歯をきれいに並べなくてはならないこともあります。
マウスピース矯正の歯の移動方法は歯体移動という、水平に歯を動かす方法です。
そのため、大きな隙間に対して歯を移動しようとすると傾いてしまうリスクがあります。
特に抜歯する本数が多い場合はワイヤー矯正の適応になります。
◎回転移動は苦手
水平に動かすという特性から、マウスピース矯正は回転などの動きはあまり得意ではありません。
回転が必要な場合はワイヤー矯正の適応になります。
【苦手な症例もあるが、適応範囲は広がっている】
マウスピース矯正はとても画期的な治療法です。
マウスピース矯正は出始めた時に比べ、治せる症例が増え精度もとても高くなりました。
そのため現在では苦手な症例でも、将来的には治療が可能になる可能性もあります。
また特にマウスピース矯正の中でも、インビザラインは治療を受けた患者様のデータを蓄積し、それをシミュレーションとして使います。
このデータが多く集まるほど歯の動きを予想する制度は上がるため、今後もっとさまざまな症例に対応できるようになるでしょう。