
矯正や歯科矯正は見た目だけでなく、噛み合わせの改善にもつながる大切な治療です。
しかし、いざ検討しようとすると「歯列矯正って保険適用されないの?」「マウスピース矯正でも条件が合えば保険になる?」といった疑問が多く寄せられます。
結論として、矯正治療は基本的に保険適用外ですが、特定の条件を満たす場合は保険で受けられる可能性があります。
ここでは、保険が適用される理由と、例外的に適用されるケースについて詳しく解説します。
目次
■なぜ矯正治療は保険が適用されないの?
◎国の制度上見た目の改善と判断されやすいため
一般的な矯正治療は、健康保険制度では疾病の治療ではなく審美目的の治療と位置づけられています。
そのため、マウスピース矯正やブラケット矯正などの歯列矯正は、不正咬合(歯並びの乱れ)の改善が目的でも、原則保険が適用されず、自費診療となることがほとんどです。
◎生活に支障をきたすレベルの機能障害が明確でない
保険適用の基準には「健康上の支障を治すための治療であること」が求められます。
ただし、噛み合わせの軽度なズレや歯の重なりは日常生活に即座の支障を及ぼさないため、治療行為としての保険適用が難しいという背景があります。
■保険適用される矯正治療はある?
◎顎変形症による歯列矯正
しかし、全ての矯正治療が保険適用外というわけではありません。
厚生労働省が定めた条件に当てはまる場合、矯正が保険で受けられるケースがあります。
代表的なのが「顎変形症」です。
※顎関節症と混同されやすいですが、顎関節症とは別の疾患です。
顎変形症に伴って顎関節症を併発することはあります。
上下の顎の骨の位置に大きなずれがあり、噛み合わせに深刻な問題が生じている場合は、噛む機能の回復を目的とした治療として、保険適用される場合があります。
治療は大学病院や指定医療機関で行われ、外科手術と矯正治療を組み合わせるのが特徴です。
◎先天的な疾患を伴う不正咬合
口唇裂(こうしんれつ)や口蓋裂(こうがいれつ)など、生まれつき顎、口腔に問題がある疾患の場合も、機能回復を目的として保険適用されます。厚生労働省が定める特定疾患が対象となります。
◎保険適用されるケースは特殊なケースを除いて、ほとんどない
一般的に多くの方が気にする出っ歯や受け口、歯のガタつき、すきっ歯といった歯列矯正は、噛み合わせの改善が目的であっても、ほとんどの歯並びは保険適用の対象にはなりません。
■保険が適用されない場合のサポート制度
◎医療費控除の対象になる可能性がある
マウスピース矯正であっても、上記の条件に当てはまらない場合は、基本的に自費診療となります。しかし、自費であっても、治療目的と判断されれば、医療費控除の対象になります。
◎デンタルローンなどの分割払いも利用できる
自費診療では費用が高額になることがありますが、デンタルローンや院内分割を利用すれば、月々の負担を抑えながら治療を進めることができます。矯正治療は数年単位の長期治療のため、支払い方法の選択肢が多いと安心です。
【保険適用外でも費用負担を軽減するための工夫を】
矯正治療は、基本的に保険適用外の治療です。しかし、顎変形症や先天性疾患など、噛む機能に重大な問題がある場合には保険が適用されることがあります。
とはいえ、保険でできる矯正は治療方法が限られ、自由度も低いため、自費診療と比較しながら自分に合った治療方針を選ぶことが重要です。
保険が適用にならない場合も医療費控除などを賢く利用して、費用負担を抑えることができます。医療費控除の記事についてはこちらをご確認ください。










