とても手軽に矯正を行える部分矯正ですが、部分矯正では矯正が不可能な歯並びがあることを知っていますか。
そのような場合に無理に部分矯正を選択してしまうと、結果的には矯正治療がうまくいかなくなるケースもあります。
部分矯正の特徴と、部分矯正では適応不可能な症例やその理由について解説します。
目次
■部分矯正とは
◎12本の歯を動かす治療
マウスピース矯正でも、ワイヤー矯正でも前歯の一部分だけを動かす部分矯正は可能です。
部分矯正とは、多くの場合前歯(犬歯までの12本の歯)を動かすことを目的としています。
ワイヤー矯正では前歯だけに装置をつけて部分的に矯正を行います。
マウスピース矯正では奥歯までマウスピースをかぶせますが、奥歯の位置は固定されていて動かすことができません。
■部分矯正のメリット
◎手軽にできる
全体矯正よりも比較的手軽に矯正治療ができるのが部分矯正のメリットです。
「前歯のちょっとした部分だけ治したい」「軽い歯並びの悪さが気になっている」という方にはメリットのある治療方法といえるでしょう。
◎時間や費用を節約できる
前歯だけ矯正するため、時間や費用を節約できるのもメリットです。
ライフイベントなどを控えている方にとっては大きなメリットではないでしょうか。
■部分矯正で対応できない症例
◎奥歯の倒れ込みがある
奥歯の倒れ込みがあるなど、奥歯の位置を動かす必要があると部分矯正はできません。
奥歯の位置が正しくない場合は、奥歯の位置を動かすなどして歯列全体を整える必要があります。
◎あごのスペースが足りない
全体的なあごのスペースが足りない場合、前歯の12本の範囲だけでは歯をきれいに並べることが難しいケースもあります。
前歯の部分矯正では、前歯の左右を削りスペースを作って歯を動かしますが、それではスペースが足りないというケースも多くあります。
あごのスペースが圧倒的に足りない場合は全体矯正の適応となります。
◎噛み合わせを整える必要がある
奥歯を含めて噛み合わせ全体を整える必要がある場合は、全体矯正の適応となります。
部分矯正はあくまで前歯の見た目を整える治療となります。
■無理に部分矯正をしない方が良い理由
◎歯がきれいに並ばない
奥歯の位置に問題があるにもかかわらず無理に部分矯正を選択してしまうと、歯がきれいに並ばない可能性があります。
奥歯を動かす、奥歯を抜歯するなどの方法で矯正治療を行った方が良いケースもあるため注意が必要です。
◎後戻りが起こる
もし治療後はきれいに歯が並んでいても、無理をして並べた場合は後戻りの原因となってしまう可能性があります。
◎歯根や歯槽骨の吸収に繋がる
部分矯正で無理に歯を並べようとすると、歯根や歯槽骨の吸収につながり、歯自体の寿命を縮めてしまう可能性があります。
精密検査の結果や歯科医師の説明をよく聞き、ご自分に一番あった矯正方法を選択することで、お口の中全体の健康につながります。
【無理のない治療を選択】
部分矯正は手軽にできる、時間や費用の節約になるなど、軽度の歯列不正の方にとってはとてもメリットの多い治療法です。
しかし歯科医院で精密検査を行ってみると、部分矯正では前歯の矯正が不可能という方もいらっしゃいます。
この場合は無理に部分矯正を選ばず、全体矯正を選ぶようにしましょう。
無理のない治療を選択することで歯並びがきれいに整い、後戻りのリスクが減るだけでなく、長い期間口腔内を健全な状態に保つことができます。
当院では部分矯正、全体矯正どちらもよく患者さまのご事情をお聞きし、治療を計画・進行するようにしています。
気になっている歯並びが部分矯正で治療可能かどうか知りたい方は、お電話・WEBからお気軽にご相談ください。